(3月10日:術後1日目)
目覚めると、執刀した医師がやって来まして「いかがですか?やはり胆嚢が炎症を起こしていて、少々時間がかかりました。」と取り出した胆石を見せてくれます。大きいのは直径7ミリ、小さいのは5ミリ程度の真っ黒な石が8個です。「どうぞ差し上げます。」「どうも」
尿道にカテーテルが挿入されています。何とも言えない気分です。尿意はあるのですが、出口は管を通って出ますので、実感がないまま垂れ流しているのが気持ち悪くてたまりません。
院長が朝の回診にやってきます。傷口を診察しながら「Very Good!後は回復が早くなるから、頑張って歩いてね。」だそうです。
「では、病室に移動しますので、支度をしましょうね。」看護師さん二人掛かりで身体を拭いてもらって、パジャマに着替えさせてもらいます。「カテーテル抜きますね。」「えっ?痛さで縮こまってますんで、もうちょっと立派にしてから」ではなくて「痛いんでしょ?」「大丈夫、一瞬ですから。はい!」「いで?」の“で”の字が出る前に抜かれてしまいました。
看護師さんに身体を起こしてもらって、まずは座ります。横になりっぱなしだったので、頭がくらくらします。「歩くけますか?」「はい」と背中のチューブに繋げられた薬剤カプセルを紐で首にぶら下げ、点滴薬剤の台をからから転がしながら、僕はみんなの待つ(別に待っちゃいない)病室に静かに歩を進めたのでした。病室に入ると、回診中の院長がいて「おお、歩いて帰って来たか」と出迎えてくれました。長女と会社の取引先の女の子からお見舞いメールが届いていました。
「おしっこ出なかったら言って下さいね。またカテーテル差しますから。」と可愛い顔してあっけらかんと看護師さんに言われたので、させてなるものかと、またからから点滴台を転がしてトイレに行きます。出た?、そのとき「ばふっ」とTinTinがくしゃみをしました。管を突っ込んだとき空気でも入っていたんでしょうか?兎に角、素面でTinTinに管を突っ込まれるという最悪の事態は回避出来たのでした。
呼ばれてレントゲン写真を撮ります。これはお腹の中に忘れ物がないか調べるのでしょうか?台の上に横になる時傷口が痛みます。おや、この感覚はどこかで…そうでした、一昨年肋骨を折ったとき、寝たり起きたりが苦しかったあの感じです。身体を丸めて、いっきにころっと寝転ぶコツはあのときマスターしてますので、容易く難行をやり遂げることが出来ました。
今日の午後からは、水やお茶であれば水分接種が許可されました。久々に飲んだ水は滅茶苦茶美味かったです。近頃水が美味しくないとお嘆きの貴兄、一度手術をされてみてはいかがでしょうか(違う!)
明日大腸検査のいわさんは、今日は食事抜きです。何だか寂しそうです。
消灯時間が(22:00)来て床に着きますが、ガスが出ません。家ではあれだけ遠慮なくぶーぶーやって娘の顰蹙を買っているのに…
明け方、ようやく可愛らしくぷっと我が腸は正常な活動再会を宣言したのでした。
(3月11日:術後2日目)
今日から食事が出ます。
(朝食)三分粥、味噌汁(具なし)、スクランブルエッグ、缶みかん
一気にかき込みます。いわさんは悲しそうです。
Dr.が回診に来まして、傷口の絆創膏をはがします。「うん、乾いてるな。」初めて自分の傷口を見ました。??ホッチキス?傷口は臍の下に約4cm、鳩尾に約2cm、脇腹に針穴程度のが2カ所の計4カ所あって、それぞれホッチキスみたいな針で止められています。
あと、…毛がない…臍の下にあった立派なギャランドゥがきれいに剃られています。手術前から僕の頭の中をよぎった“何か忘れてる”の正体はこれでした。そもそも手術前の剃毛というのは、新人のナースが恥ずかしそうにやるのが正しい姿であって…などと馬鹿なことを言ってはいけません。こちらの病院では麻酔をかけた後にやってしまうんですね。全部ではないんですが、僕の下半身はプールで競泳用のぴちぴちパンツを履いてもはみ出さない程度に無駄毛処理が施されていたのでした。
ともかく、経過良好ということで、僕の手術痕はホッチキスむき出しで放置されることになりました。傷口の痛みもじっとしている分にはほとんどなくなり、背中のチューブは無事に外されたのでした。今僕の身体を縛る物は点滴用の注射針のみとなりました。
(昼食)五分粥、味噌汁(豆腐)、鶏肉ハンバーグ、マカロニサラダ、オレンジゼリー
「もう普通の食事なんですか?」としまさんが羨ましそうに覗きに来ます。
午後にヨメが来ました。どうもこの人の性格なんでしょうが、来るなり「退院はいつ?」とか「子供がどうした」などと自分のことばかりマシンガンのようにしゃべりまくります。「そんなことより、俺の容態のこととかはどうでもええんか!」などとやりかえしてしまったもんだから、険悪になってしまいました。いけませんね、彼女にしても家事から子供の卒業のことなど一人でやりながら、忙しい合間を縫って病院に着替えとか持って来てくれてるんだから、神経もささくれ立ってくるのかもしれません。わかってあげねば…などと一応ここでヨイショしておこう。本当は感謝してるんですよ。これ読んでる?
長女が差し入れてくれたDVD「12人のパパ」を見る。12人も父ちゃんがおるんかい!と思ったら、12人の子供を持つ夫婦のお話でした。アメリカンホームコメディというやつなんでしょうが、いけません、笑うとお腹の傷口に響きます。
(夕食)八分粥、菜っ葉とはんぺんの煮物、カボチャの煮物、キャベツの塩揉み、ヨーグルト
(3月12日:術後3日目)
朝体重測定 入院時よりマイナス3kg
(朝食)全粥、味噌汁(油揚、もやし)、高野豆腐、ほうれん草の和え物
食事は全部食べられるので、点滴は完全に終了です。腕に固定された注射針を抜き取ってもらい、これで完全に自由な身体になりました。
今日は日曜日のため、回診はなしです。
(昼食)全粥、かきたま汁、揚げ出しカレイ、ブロッコリー、もやしと胡瓜の酢の物
傷口は動かせば痛い程度なのですが、左肩が異常に痛くなります。看護師さんに聞くと、手術中に無理な体勢で括り付けられた後遺症とのことです。
午後にヨメが来ます。どうしても甘い物が欲しくなったので、チョコレートをこっそり差し入れしてもらいました。美味かった?。近頃チョコレートが美味しくないとお嘆きの貴兄、一度入院されてみてはいかがでしょうか?
洗面所にシャワーが備え付けられていますので、久々に髪を洗いました。さっぱりと気持ちよかったです。
(夕食)全粥、チキンの梅肉炒め、白菜煮、大根と人参の煮物、バナナ(1本)
バナナ丸ごと1本なんて久々に食べました。美味かった?。近頃バナナが美味しくないとお嘆きの…もうええか。
しまさんは明日内視鏡検査だそうです。結果次第で何かを口に出来るかどうかが決定されるそうです。
(3月13日:術後4日目)
今日は朝からWBCのアメリカ戦を観戦です。
(朝食)米飯、味噌汁(玉葱)、かまぼこ、おひたし
今日から普通の食事ですwよ?く噛み締めて食べます。
院長の回診です。「どうですか?」「ええ、もうイナバウワー出来ますよ。」などとお決まりの冗談は…いいません。「もう退院出来ますか?」「明日の血液検査の結果を見て決めましょう。」とのことです。
ひろくんといわさんは明日に退院が決まったようです。「先生よ?まだお腹ごろごろするし、もうちょっと置いてくんね?かな?」「バカ言うんじゃない、検査結果も何ともないんだから。」「そうかな?」いわさんなんだかだだこねてます。ひろくんは今日おなかのホッチキスを外されたみたいで、最初怖がってたみたいですが、ちょっとちくっとするくらいだったそうです。
しまさんが「eddieさん(仮名)明日からゆっくり寝られますね」だって。
そのしまさん、内視鏡検査から戻って来ました。指で○サイン。今日から食事が出来るし、明後日退院出来るそうです。ええ?じゃ退院決まってないの僕だけ?
(昼食)焼きそば、コンソメスープ、かに玉、酢の物
こちらの病院はナースキャップを廃止しています。コスチューム(でいいのかな?)もほとんどがズボン姿です。機能的なんでしょうが、やっぱりナースは白衣に白いストッキングでないと、などとひとり中年的感慨に耽る病院の午後でした。(最近、衛生面と安全面を考慮してナースキャップを廃止する病院が多いそうです。毎日洗うもんではないし、あのぴしっとあてられた糊が細菌繁殖の温床となったり、うっかり機器に引っ掛けたりすることがあるそうです。)
会社に電話を入れて経過報告をしました。ただ暇だっただけなんですけど。上司は「おう!元気そうで良かった、宿題いっぱいあるからな!」…電話なんかするんじゃなかった
(夕食)米飯、チキン竜田揚げ、カリフラワー、豚肉と筍の炒め物、グレープフルーツ
22:00消灯なんですが、体力は回復して昼間はごろごろしているだけなので、どうも寝付けません。Van HalenのDVD見ながらうとうと…
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