床に臥(ね)て
おもふことなし
わが額(ぬか)に埃舞い上げ猫は遊べり
わが額(ぬか)の
上向く癖(くせ)がいきどほろし
このごろ愛しき爺(じい)に似たれば
でぃすくの奥よりかりかり聞ゆ
あはれあはれ
自(みづか)ら死ぬる音のよろしさ
箱体のそばに耳あて
小一時間(こいちじかん)
堅(かた)きけーすをばむしりてありき
「さばかりの事に切断(き)れるや」
「さばかりの事に繋(つな)がるや」
止(よ)せ止せ問答
まれにある
この平(たひら)なる心には
びいぷの鳴るもおもしろく聴(き)く
ふと深き怖れを覚え
ぢっとして
やがて静かにすうぃっちをまさぐる
脚立(きゃたつ)のいただきに登り
なにがなしに首をかしげて
下(くだ)り来しかな
何処(どこ)やらに沢山(たくさん)の設置仕事が
鬮(くじ)引(ひ)くごとし
われも引きたし
怒(いか)る時
かならずひとつけーぶる引っこ抜き
九百九十九(くひやくくじふく)抜きてやめましょ
いつも逢(あ)ふ電車の中の小男(こをとこ)の
ぽけっとのあいぽっど
このごろ気になる
林檎屋(あっぷるすとあ)の前に来て
ふと驚きぬ
見すぼらしげに見えるものかも
何(なに)となく電車で行きたく思ひしのみ
電車を下(お)りしに
ゆくところがわからん
客先に入(い)り
煙草(たばこ)のみたることありき
あはれご主人もすいたきばかりに
何がなしに
設置を頼まれ出(い)であるく男となりて
三年にもなれり
一握のLANケーブル(第四回)

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